2014年7月31日現在、自民党幹事長・石破茂氏が、安倍内閣から「安全保障法制担当相」のポストを打診されているが、まだ受けていない。4月に石破茂は安倍晋三本人に「閣議決定文から『集団的』の言葉を外してはどうか」と提案され拒否されていると報じられている。

情報資料

▼首相、幹事長交代の意向 安保担当相打診、石破氏は難色
朝日新聞 2014年7月29日07時05分

『 安倍晋三首相が自民党の石破茂幹事長に対し、9月第1週に行う内閣改造・自民党役員人事で幹事長を交代し、新設する安全保障法制担当相に就任するよう打診していたことがわかった。石破氏は現時点で担当相就任に難色を示しており、石破氏の最終的な判断が人事の焦点となる。

 首相側は最近、複数回にわたって石破氏に打診したが、石破氏は首相に回答していないという。

 首相は集団的自衛権の行使容認に伴い、来年の通常国会に提出予定の安全保障関連法案を管轄する安保法制担当相を設ける意向だ。安保政策に精通するとされる石破氏の起用で、国会審議を乗り切りたい意向とみられる。

 また首相には、来秋の自民党総裁選での再選をにらみ、「最大のライバルとされる石破氏を閣内に取り込んで動きを封じる」(自民党幹部)狙いもあるとみられる。さらに今年12月で衆院の任期が2年を過ぎることから、解散・総選挙のタイミングを視野に、選挙を指揮する幹事長には自らに近い人物を据えた方が得策だとの判断もありそうだ。

 一方、石破氏は安保法制担当相への就任に今のところ消極的だ。集団的自衛権の行使容認に伴い、国家安全保障基本法を制定すべきだとする石破氏に対して首相が後ろ向きなほか、日米安全保障条約の改定を目指すかどうかなどについても、考え方の食い違いがある。また、石破氏に近い議員の中には「安保法制担当相を受ければ首相に協力しなくてはならず、来年9月の党総裁選に出にくくなる」との意見が強い。無役になってでも、総裁選に備えるべきだとの声もある。

 石破氏は28日、BS11の番組で安保法制担当相への意欲を問われ、「自分じゃなきゃできないという思い上がりを持ってはいけない。約400人の国会議員がいて、私でなければと僭越(せんえつ)なことを言うつもりはない」と述べ、慎重な姿勢を示した。

 石破氏が安保法制担当相就任を正式に断った場合、首相は石破氏を幹事長として続投させるか、別の閣僚ポストを打診するか、無役にするのかの判断を迫られる。』
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▼(検証 集団的自衛権:2)石破氏、奪われた「アイドル」
朝日新聞 2014年7月4日05時00分
『(前略)3月下旬、石破は不満を漏らした。首相の安倍晋三や自民党副総裁の高村正彦が唱える集団的自衛権の「限定容認論」に焦点が当たり始めたときだった。

 石破は党内きっての国防のエキスパートだ。防衛庁長官として自衛隊をイラクに派遣。福田内閣では防衛相も務めた。

 外交や安全保障は「票にならない」と先輩議員にたしなめられながらも、十数年前から集団的自衛権の行使容認を訴え続けてきた。集団的自衛権の行使は国連加盟国すべてに認められている。日本も他国のように全面的に行使できる「ふつうの国」になるべきだというのが持論だ。

 3月31日、自身が本部長を務める自民党の「安全保障法制整備推進本部」の初会合で潮目が変わった。

 高村が160人の議員を前に講演。1959年の砂川事件判決の「わが国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうる」とした部分を持ち出し、「集団的自衛権も『必要最小限度』にあたる」との考えを打ち出した。

 このときを境に「限定容認論」が主流となり、党内から安全保障の本質的な議論が消えた。

 2日後の4月2日夜。石破は高村とともに首相公邸を訪れた。石破は安倍に切り出した。「閣議決定文から『集団的』という言葉を外してはどうですか」

 集団的自衛権の行使容認に慎重な公明党への配慮からだった。国会での十分な議論に加え、国民の理解が不可欠だとも考えていたからだ。

 しかし、安倍は一顧だにしなかった。「だめだ。閣議決定に集団的自衛権という言葉は絶対に入れる」

 自民党総裁でもある安倍が譲らない以上、補佐役の幹事長が逆らうことは混乱をもたらすのみ。石破はあきらめた。

 石破のアイドルだった「集団的自衛権」が離れていった。そして自民党は、「限定容認論」に染まっていった。

 ■血を流す覚悟、語らぬ首相

 「アメリカの若者は日本のために血を流す覚悟をしている。他国の若者なら命を懸けてもいいが、日本は懸けない。本当にそれでいいのか」

 石破は5月18日のNHK番組で、こう問いかけた。

 日本が集団的自衛権の行使を認めても、日米安全保障条約を改定しない限り、米国が攻撃された時に日本が米軍を守る義務はない。

 ただ、米軍から支援を求められれば、「憲法の制約があるからできない」と断ることができなくなる。今よりも自衛隊が米国の戦争に巻き込まれる可能性は増える――。

 石破が言いたかったのは「ふつうの国」になることの「代償」、そしてリーダーには「血を流す覚悟」が必要ということだった。

 しかし、安倍は、この点に触れたがらない。

 7月1日の記者会見。

 「隊員が戦闘に巻き込まれ、血を流す可能性が高まる点をどう考えるのか」「犠牲を伴う可能性に、国民はどういう覚悟を持つのか」

 記者の質問に対し、安倍は「自衛隊の皆さんは危険が伴う任務を果たしている。勇気ある活動に敬意を表する」と、正面から答えなかった。

 来春の統一地方選を控え、石破は地方組織の代表を集めて、集団的自衛権について説明する会合を開こうと検討している。しかし、周りは必死に止めている。「もう決まったことなのに、わざわざ異論が噴出するような機会をつくる必要はない。何より安倍さんが嫌がるだろう」(敬称略)』
  • ポイント:
  • 4月2日、石破茂は、安倍晋三に「閣議決定から『集団的』という言葉を外したらどうか」と提案したと報道
  • ポイント:
  • 安倍晋三は、集団的自衛権の自衛隊員のリスクを国民に明確に説明せず
  • ポイント:
  • 石破茂は集団的自衛権を説明する会合を開こうとしているが、周囲に止められていると報道
  • ポイント:
  • 2014年7月31日現在、安倍政権は、石破に「安全保障法制担当相」のポストを打診も、石破はまだ受けず

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情勢分析

自民党内で、集団的自衛権をめぐって、微妙な駆け引きが存在している。
石破茂は幹事長として、公明党を否定せず、うまく持ち上げつつ、どのように、今後の、福島県知事選挙、沖縄県知事選挙を乗り切るかを考えている(NHKドキュメンタリでの発言)
そんな中で、石破自身が、安倍政権のもとで、集団的自衛権の法整備を行うことには、抵抗がある。自分自身の信念とは違った流れにあるだろうからだ。
安倍総理から見れば、石破茂が「安全保障法制担当相」になることは公明党との調整も行えるだろうという打算があるかもしれない。それは9月の沖縄県統一地方選挙、11月の沖縄県知事選挙に向けての公明党の動きに影響するだろう。
このように、集団的自衛権の行使容認問題は、自民党内で微妙な風を吹かせている。
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