ロイターの報道が、アベノミクスの今後の厳しさを伝えている。短期的にも長期的にも内閣支持率や選挙情勢に影響する可能性がある。安倍政権の支持率は、経済成長によって支えられている。これまでは株価の上昇が安倍政権の支持率を支えてきたが、GDPが大幅なマイナス成長だということが既成事実化している今、株価だけでは説得力がなくなってきている。だが、今後もGPIFによって日本株の株価を引き上げようとしている。

情報資料

▼【クレジット市場】アベノミクスに疑念、増税大打撃で実質賃金伸びず
8月20日(ブルームバーグ)

『国債市場関係者はアベノミクスが消費者物価を目標の2%まで上昇させることに一段と懐疑的となっている。日本経済が消費税率引き上げで大きな打撃を受けて、実質賃金の減少が続いてるためだ。

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日本の4-6月期の実質国内総生産(GDP)は前期比年率6.8%減と、東日本大震災の悪影響を受けた2011年1-3月期以来の大幅なマイナス成長 となった。格付け会社フィッチ・レーティングスは前週のリポートで、金融緩和と財政出動に続く、第3の矢である「構造改革はまだ成長率が中期的に加速することを示していない」と指摘。政府が経済成長を押し上げるため、構造改革を進める必要性があるとした。

スピロ・ソブリン・ストラテジー(ロンドン)のマネジングディレクター、ニコラス・スピロ氏は、「日本経済は大きな打撃を受けている。政府のリフレ策への信頼感に疑念を生じさせることは避けられない」と指摘。「アベノミクスはまだ死滅して埋葬されるには至っていないものの、次第に生命維持装置に頼る状況に陥っている」と解説した。

厚生労働省が18日発表した6月の毎月勤労統計(確報)で現金給与総額 は前年比1.0%増加となった。一方、インフレ調整後の実質賃金は同3.2%減少。米国、ドイツ、オーストラリアに至るまで世界的に景気の減速懸念が強まる下、賃金の伸びは低迷し、インフレ期待が低下している。

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総務省が発表した6月の全国消費者物価指数(CPI)は生鮮食品を除くコア で前年同月比3.3%上昇し、賃金上昇率の3倍に達している。ただ、消費増税による押し上げ分を除くと同1.3%上昇と、5月の1.4%上昇を下回った。日銀は4月からの消費増税がフル転嫁されればコアCPIを2.0ポイント押し上げると試算している。

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GDP見通し下方修正

関係者によると、日銀は10月31日に新たに策定する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、今年度の実質GDP見通しを4回連続で下方修正する可能性が出ている。

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政権支持率

政府は4月に、消費税率を5%から8%へ引き上げた。来年10月に10%まで引き上げるかに関しては、景気動向を見極めた上で年末に決定する方針。

JPモルガンの山脇氏は、消費税率について「谷垣禎一法相が消費税は引き上げが前提と発言しており、引き上げ方向で動いている」と指摘。「自民党内でも意見が分かれているが、引き上げを中止する法案を作るのはよほどのことがない限り、難しい。引き上げがなくなるとBEIは下がるだろうが、そういう状況にはなっていないので、物価連動債が大きく崩れるとは思わない」と言う。

時事通信が7-10日に実施した8月の世論調査によると、消費税率の10%への再引き上げについて、74.8%が反対と回答した。賛成は22.6%。安倍内閣の支持率は前月比1.1ポイント低下の43.5%に続落し、第2次安倍政権下で最低を更新。不支持率は0.5ポイント増の35.1%で、第2次政権で最高となった。

モルガン・スタンレーMUFG証券チーフエコノミストのロバートフェルドマン氏は、弱含む景気指標などを背景に、「アベノミクスは失速している。これまでの実績があったものの、投資家の信頼を失っているようだ」と指摘。「安倍政権の税制、雇用、選挙制度などの改革は、時間枠や目標で具体性に欠ける」との見方を示した。 』

  • ポイント:
    4−6月期のGDP、前年比年率6.8%減。東日本大震災以来のマイナス成長;
  • ポイント:
    インフレの影響を加味した実質賃金は前年比3.2%減少。
  • ポイント:
    今年度のGDP見通しを4回連続で下方修正する可能性。
  • ポイント:
    消費税率10%引き上げに、約75%が反対。
  • ポイント:
    アベノミクスは失速していると海外からは見られている。
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選挙情勢メモ

  • アベノミクスが失速している根拠が報じられている。
  • 4−6月期のGDPが大幅なマイナス成長と報じられ、アベノミクスの失速の既成事実化が進んでいる。
  • 今後の、GDP見通しを下方修正することは、支持率に大きく影響するだろう。
  • 6月の実質賃金は前年比3.2%減少。額面では微増だが、インフレの影響が数字に現れているに過ぎない。実質賃金が重要だ。実質賃金は、マイナスだ。
  • 消費税率10%引き上げにも、多くの人が反対している。これも支持率に影響し続けるだろう。
  • おおよそ、アベノミクスにとってネガティブな影響を与える状況の中で、今後GPIFの動きが注目だ。
  • GPIFは約130兆円の年金の積立金を運営する組織。官邸主導で、GPIFに国内株への投資比率を上げさせ、世界の投資家に日本株を買わせる動きが始まっている。海外からの投資を集め株価をあげさせ、それをGPIFの年金投資によって株価の下支えをするという動きだ。海外投資家は株価が上がったところで売り抜けるだろうという見通しが強いとみられている。
  • それで株価が一時的に上がったことを国内メディアがどのように報じ、内閣支持率に影響するのかを注目しておく。今後の10月26日福島県知事選、11月16日沖縄県知事選前にどのように株価が動き内閣支持率に影響するのかを見ておくと良い。
  • この2つの選挙までに残り時間はわずかだ。株価の変動が選挙にポジティブに影響する可能性は限られている。統一地方選まではまだ時間がある。統一地方選に間に合う可能性は十分にあるとみる。
  • ただし、GDPの動きによっては、海外から株への投資は集まったとしても、企業の誘致は進まない可能性もある。国内企業の動きも同じようになるだろう。つまり実体経済に反映するかどうかを見ておくと良い。
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